箏(琴)の楽譜

2017/05/26

箏は流派によって書き方が違います。生田流と山田流では使用する楽譜が違いますし、同じ流派でも社中(派閥のようなもの)によって楽譜が違ったりりする場合があります。
ですから同じ曲でも複数の出版社から出ていて、書き方が違ったりします。
ですから流派が違ったり、師匠の違う人達が合奏すると、同じ曲なのに違うフレーズを弾いたりしている事がよくあります。
ですが、これは誰かが間違っている訳では無く、そもそも教わってる事が違うということです。
こういった事がありますので、楽譜を買う時は注意して買いましょう。
※これはいわゆる「古典曲」で起こることです。最近の曲では楽譜の書き方が違ってもフレーズが違うということはありません。

ここで紹介している楽譜は「大日本家庭音楽会」出版の生田流の楽譜です。
箏の楽譜はいわゆる「絃名譜(タブラチュア譜)」です。
箏の絃は13本ですが、絃は座っている場所から見て奥(足から遠い絃)から一、二、三、~、十で、手前三本が斗、為、巾と続きます。
十七絃は十以降はアラビア数字で11=1、12=2、13=3、~、17=7と表記します。 楽譜にはこの絃の名前で書かれています。

上は箏譜の例ですが、五線譜と違い縦書きです。
上の「Ⅰ」、「Ⅱ」、「十七」はパートを表し、第一箏、第二箏、十七絃のことです。
ですので、これは縦3列で一まとまりとなっています。
そして二重線で囲まれた四角(赤い四角)が1小節です。
さらに小さなマス(青い四角)が1拍です。
これは1小節に4拍ありますので4/4の曲ですね。
1拍が真ん中の線で区切られていて、表拍と裏拍を表しています。
この表拍または裏拍が八分音符となり、絃名が一つだとそのまま八分音符、縦に2つ入っていると十六分音符となります。
横に絃名が並んでいる場合は同時に弾きます。これを「合わせ爪」といいます。
また休符は丸が四分休符で、三角が八分休符です。

そして絃名の横に「オ」や「ヲ」が付いている時は、箏の代表的な技法「押し手」の指示です。
押し手の指示がある絃を、琴柱の左側を左手で「押す」事で音程を上げる事が出来ます。
「オ」は一音、「ヲ」は半音上げるという意味です。
他に絃名の横に小さく数字で1、2、3と書かれている時は1=親指、2=人差し指、3=中指で弾くという指示です。
4の場合は薬指=pizz(爪でなく指で弾く)という意味です。「左」は左手の事で、これもpizz.の指示です。
またpizzの指示では、丸で囲む場合もあります。

その他の技法として ・「→」=すり爪 爪の横の部分で絃をこする。
・「ハ」=押し手とセットで使い、押した絃を離す。
・「ケ」=手で絃を抑え余韻を消す。スタッカートでも同様。
・「縦の波線、tr.」=トレモロ(爪で絃をこすり連続音を出す)
・「横の波線」=アルペジオ(複数の絃を)同時ではなくずらして弾く。大抵は低い音から。
・「gliss.」=グリッサンド 高い方または低い方から絃を連続的に弾く。
等々色々とあります。
細かい点は全てを文章で書く事は出来ませんし、勘違いで変な癖が付いても困るので、しっかり弾ける方に弾いてもらうか、師匠に聞きましょう。

参考に山田流の楽譜も掲載しておきます。
こちらは生田流と違い横書きです。
絃の表記は一緒ですが、絃名の下の横棒が五線譜の旗の役割を果たしています。
その他、押しの表記等色々と相違点があります。
山田流楽譜

-箏(琴), 箏(琴)・三味線の楽譜