地歌・箏曲 /

古今組

読み:こきんぐみ

古今組は、幕末期に尾張で活動した二世吉沢検校が作曲した、箏曲五曲の総称です。

  • 千鳥の曲
  • 春の曲
  • 夏の曲
  • 秋の曲
  • 冬の曲

以上の五曲からなり、吉沢検校が考案した「古今調子」という調弦を用いることを大きな特徴とします。三味線音楽の影響が強まっていた当時の箏曲に対し、箏を中心とする音楽を復興・発展させようとした作品群として、箏曲史上重要な位置を占めています。

歌詞と音楽上の特徴

古今組の歌詞は、主として『古今和歌集』に収められた和歌から採られています。ただし「千鳥の曲」は、前歌に『古今和歌集』、後歌に『金葉和歌集』の和歌を用いています。

「春の曲」「夏の曲」「秋の曲」「冬の曲」は、古典的な箏組歌を意識した歌中心の構成で、もともとは長い器楽的間奏である手事を持たない曲として作られました。また、三味線との合奏を前提とせず、箏本位の音楽として作曲された点にも特徴があります。

一方、「千鳥の曲」には前歌と後歌の間に手事があり、波や千鳥が飛び交う情景を思わせる箏の手が用いられています。雅楽の旋律やリズムを参考にした要素も見られ、古雅で格調高い響きを持つ作品です。

後世に加えられた手事

明治中期には、松阪春栄によって「春の曲」「夏の曲」「秋の曲」「冬の曲」に手事と替手が補作されました。現在は、この手事入りの形で演奏されることも多く、本手と替手による箏二面の華やかな合奏として親しまれています。

古今新組との違い

吉沢検校が古今組に続いて作曲した「山桜」「唐衣」「初瀬川」「新雪月花」などの作品は、「古今新組」「新古今組」または「古今新曲」と呼ばれます。

古今組と古今新組は名称が似ていますが、古今組は「千鳥の曲」と四季の曲からなる五曲を指し、それ以後に作られた作品群とは区別されます。