三曲合奏 / 地歌・箏曲 / 奏法・技術 / 箏・三味線共通

段返し手事物

読み:だんがえしてごともの

段返し手事物とは、地歌・箏曲の手事物のうち、手事の各段を「段合せ」や「段返し」によって合奏できるように作られた楽曲形式を指します。

手事物では、前唄と後唄の間に、器楽的な聴かせどころである「手事」が置かれます。この手事が複数の段に分かれ、各段の拍数がそろえられている場合、異なる段同士を同時に演奏する「段合せ」が可能になります。さらに、一度合わせたあとに奏者が受け持つ段を入れ替えて、もう一度合奏することを「段返し」といいます。

段返し手事物では、単に旋律を順番に演奏するだけでなく、本手と替手、あるいは異なる段の旋律が重なり合うことで、独奏とは異なる立体的な響きが生まれます。京流手事物の発展の中で、三味線・箏・胡弓などによる三曲合奏の表現を広げた重要な形式です。

菊岡検校作曲、八重崎検校箏手付の《楫枕》は、段返し手事物の代表的な曲として知られています。手事が二段構成となっており、初段と二段を合わせることで、曲の構造的な面白さを味わうことができます。